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歯周病患者におけるインプラント治療時の骨を増やす手術(骨造成)について|箕面市の歯医者

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カテゴリ:医院コラム

歯周病患者におけるインプラント治療時の骨を増やす手術(骨造成)について|箕面市の歯医者

こんにちは。

箕面市の歯医者、平野歯科クリニック、勤務医の川嵜です。

 

本日は「歯周病患者におけるインプラント治療時の骨を増やす手術(骨造成)について」というテーマで解説をしていきたいと思います。

 

歯周病患者に対するインプラント治療では、歯周病の進行または歯の喪失原因や喪失後の期間などによりインプラント埋入が困難な顎の骨の吸収が認められることがあります。骨量不足を解決し、インプラントを補綴学的に適正な位置に埋入することで機能的および審美的な成功を獲得するために、骨に対するオプションを治療計画に含めます。骨に対する外科的な手術を行う際、骨移植材や遮断膜とよばれる人工材料を用いることで骨量不足を解決します。

 

 

1)顎堤に対する骨造成

顎骨を増やすこと目的とした処置では、これらの方法を単独またはいくつかを組み合わせて選択されます。骨造成を行う時期はインプラント埋入前(段階法)またはインプラント埋入時(同時法)のいずれかとなる。歯周病患者に骨造成を行う場合、歯周病の原因因子が除去され、炎症が消退したことを確認後に行います。水平的ならびに垂直的骨造成では患者自身の骨である自家骨、もしくは人工物である骨移植材を用いる術式が採用されることが多く、それらに加えて遮断膜を併用した GBR 法は高い成功率が得られています。また、自家骨は骨造成法のゴールドスタンダードであるが、採取量が制限されることが多いため、広範囲の骨造成では他の骨移植材と併用されます。一般的に、垂直的な骨造成は水平的な骨造成に比較して困難と考えられている。骨欠損形態と骨造成方法の違いによるインプラント生存率と合併症の割合を報告した論文によると、水平的骨欠損への段階的 GBR 法、垂直的骨欠損への同時 GBR 法および仮骨延長術では合併症を起こす割合が高く、適用する場合は、注意が必要と言われています。また、インプラント埋入と骨造成の同時法では、インプラント埋入可能な十分な既存骨があり、確実に初期固定が得られる場合に行われます。

 

2)抜歯後の顎骨の保存

抜歯時に骨移植材やコラーゲンスポンジなどを用いて、歯を抜いた後の穴である抜歯窩の吸収を防ぎ、抜歯後の顎堤吸収を防ぐ治療法があります。吸収性ならびに非吸収性のメンブレンを併用することもあります。これらの方法が顎堤吸収を減少させることは示されていますが、骨吸収を完全に防ぐことはできません。

 

3)上顎洞底挙上術

上顎の骨には上顎洞と呼ばれる空洞が存在し、上顎のインプラント治療において度々骨量不足が問題となります。上顎洞がインプラント埋入予定部位に近接している場合、上顎洞粘膜と上顎洞底部骨の間にスペースを作り、インプラント体埋入に必要な骨組織を増大させる外科処置を行います。上顎の骨の外側壁から上顎洞に到達する方法のサイナスリフト(側方アプローチ)と、インプラントの埋入窩から上顎洞に到達する方法であるソケットリフト(歯槽頂アプローチ・オステオトームテクニック)の 2 つの方法があります。ソケットリフトは既存の骨が 5mm 以上存在し、上顎洞底が平坦な場合が適応となります。 インプラント埋入直後にしっかりとインプラントの安定が得られないことが予想される場合には、埋入に先立って上顎洞底挙上を行う“段階法”が行われます。

 

参考文献

日本歯周病学会「歯周病患者における口腔インプラント治療指針とエビデンス2018」

 

以上のように、歯周病によってインプラントを支える骨が不足している場合でも、適切な骨造成を行うことで、インプラント治療が可能となります。まずはお近くの歯医者さんにて是非ご相談下さい。

 

文責 歯周病学会認定医 川嵜公輔

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