歯を磨いているのに口臭が治らない理由とは?
大阪府 箕面市 平野歯科クリニック
歯科医師・院長 平野琢起
こんにちは、箕面市の歯医者 平野歯科クリニック 歯科医師 院長の平野です。
当院にご来院いただく患者様の中でよくご相談いただくのが「口臭」についてです。
・年齢を重ねるたびに口臭がきつくなっているような気がする
・コロナ禍でマスクをつけていると、余計臭いが気になる
・歯磨きをしているのに、最近口臭を指摘された
・口臭をどのように治していっていいかわからない
上記のようなお悩みを抱えている方が数多くいらっしゃいます。
今回はそのような方々に向けて、口臭の原因、口臭の予防策について解説をしていきたいと思います。
まずは口臭のセルフチェックから行っていきましょう。
下記項目に対して、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。
◆◇◆◇口臭セルフチェック◆◇◆◇
①マスクをした時に自分の口臭がきになる
②水分を摂取する機会が少ない
③無意識のうちに口が開いている時がある
④あまり噛まずにご飯を食べてしまう時がある
⑤ストレスを感じやすい体質である
⑥朝食を抜いてしまう習慣がある
⑦硬いものをあまり食べず、どちらかというと柔らかい食べ物を食べることが多い
⑧緑茶や紅茶よりものコーヒーを飲む機会が多い
⑨夜寝る時間が遅く、ベッドでもスマホを触りながら寝ることが多い
⑩歯を磨くと歯肉から出血をしていることが多い
⑪唾液がネバネバしていることが多い
いくつ当てはまったでしょうか。
半分以上当てはまる場合は、口臭の可能性が高いので、しっかりと予防をしていきましょう。
それでは口臭の原因について解説をしていきたいと思います。
□口臭の原因とは?
口臭の原因は以下の3つです。
- 生理的口臭
- 外因的口臭
- 病的口臭
1つ目の生理的口臭について簡単に解説をしていきたいと思います。例えば朝の起きた時に口臭を感じたり、緊張時に口臭を感じることはありませんか?
これがいわゆる生理的口臭と呼ばれるものです。またホルモンバランスの乱れにより口臭が発生するのも生理的口臭と言われています。
2つ目の外因的口臭についてです。これは文字通り、外部のものを体内に入れることで発生する口臭のことです。
例えば、喫煙や飲酒、ニラや玉ねぎといった食べ物を体内に摂取した際に発生する口臭です。
3つ目は病的口臭です。これが口臭の根本的な大きな問題であり、歯科医院で治療、予防できる領域です。
病的口臭といっても理由は様々ですので、1つ1つ解説をしていきたいと思います。
・歯周病が原因
歯周病は口の中にいる細菌が歯茎に炎症を起こさせる病気であり、30歳以上の成人の約8割の方が罹患しているというデータもある感染症の一種です。
歯周病は炎症を引き起こし、その炎症が続くと、歯と歯茎の間の溝が深くなり、この深い溝の中(歯周ポケット)にいる細菌が作り出すにおい物質です。
そのため歯周病が進行すると口臭が強くなるので注意が必要です。
・むし歯が原因
実は歯周病だけではなく、むし歯も口臭の原因となります。理屈は簡単で、むし歯は歯に穴が空いてしまう症状です。
つまり、その穴に皆さんが摂取された食べ物が詰まってしまうと、歯ブラシで取り除くことは難しく、その食べ物が腐食し、臭いを放ってしまうのです。
また、むし歯を放置する歯の神経は腐敗し、それが原因で臭いを放つことがあります。そして、神経が死に、残根状態となったむし歯は、抜歯を余儀なくされるケースも珍しくありません。
しかし、厄介なのは、この状態までいくと痛みが引いてしまうことです。そのため、この状態のまま放置し、結果として歯根の先に膿がたまり、これが臭いの原因となることがあります。
・舌苔が原因
原因の3つ目が「舌苔」です。恐らく聞き馴染みのない言葉かもしれません。
この舌苔とは口の中の細菌や食べかす、粘膜から剥がれた上皮が集まり舌の表面に付着したものです。
なぜ、この舌の表面に集まりやすいかというと、みなさんも舌を触っていただければ分かるかと思いますが、
表面がザラザラしており、よく見ると凹凸ができています。
この凹凸に臭いの原因となる物質がたまり、それが口臭に繋がります。
・唾液が原因
4つ目が「唾液」です。実は唾液の量によって、口臭に繋がるケースがあります。
まず唾液の役割についてお話をします。唾液は、消化、抗菌、粘膜保護、洗浄といった口腔内を清潔に保つ重要な役割を担っています。
つまり、唾液が少ないと、口腔内の細菌が増えたり、歯垢が溜まりやすくなってしまいます。
そのため、口臭に繋がりやすくなります。
では、次にどのように口臭を予防していくか解説をしていきたいと思います。
□口臭の予防策とは?
まずは生活習慣の改善です。治療をしてもそもそもの生活習慣が悪ければ、口臭は再発してしまいます。以下の点を心がけてみてください。
- 朝・昼・晩しっかりと食事を摂るようにし、食事を摂る際にはよく噛むことを意識しましょう。
- 睡眠をよく取り、ストレスを貯めないようにしましょう。
- 暴飲暴食を避けましょう。胃と腸を整えることも口臭予防に繋がります。
- 運動を定期的に行いましょう。運動はストレス発散にも繋がります。
ここから口腔内のケアです。
まずは口臭の原因となる細菌の数を減らすことが重要です。
そのため、毎日の歯磨きで歯垢を取り除きましょう。ただ、歯ブラシだけでは行き届かない箇所があるので、その場合は、
歯間ブラシやデンタルフロスも使用し歯と歯の間に付着した歯垢も取り除き、歯周病・むし歯リスクを低減させましょう。
2つ目は舌ブラシを使用し、舌苔と取り除きましょう。舌ブラシを使って、奥から手前に2、3回優しく磨いてください。
1日1回の舌磨きで十分です。強く舌ブラシでこすると舌の表面にある味を感じる味蕾と呼ばれる組織を傷つけるため注意してください。
3つ目は唾液量を増やす取り組みを意識的に行っていきましょう。
そのために簡単にできるのは食事の間などに、キシリトール入のガムを噛み、唾液量を増やしましょう。
また、唾液を増やすためのマッサージも有効です。マッサージには主に3つあります。1つ目は耳下腺マッサージです。
耳の下を刺激するマッサージ方法です。2つ目は顎下腺マッサージです。これは顎の下を刺激するマッサージです。
最後に舌下腺マッサージです。これは舌の下を刺激するマッサージです。
最後に歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることです。
ご家庭でできるケアには限界があり、綺麗に細菌を取り除くことはできません。
予防のプロフェッショナルである歯科衛生士さんのメンテナンスを受けることで、清潔な口腔内を保つようにしましょう。
□まとめ
口臭には種類があり、「生理的口臭」「外因的口臭」「病的口臭」に分けられます。
また、口臭の原因は1つではなく、主に「歯周病」「むし歯」「舌苔」「唾液」の4つに分けられます。
この4つの症状に対して適切なアプローチをしていく必要があります。
そして、ご家庭で口臭の改善対策を行っても治らない場合は、近くの歯医者さんにご相談されることをおすすめいたします。
口臭となっている根本的な原因を改善するには専門の治療が必要になることが多いです。当院でも歯科衛生士さんによるケアを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
◎過去のブログもぜひご覧ください。
「矯正治療とセファロ分析について」
https://hirano-shika.net/column/2336/
「歯ぎしり・食いしばり・顎関節症に対するボトックス治療について」
https://hirano-shika.net/column/2328/
執筆者
歯科医師・院長 平野琢起