皆さんこんにちは!医療法人平野歯科クリニック院長の平野です。
皆さんは歯磨きや食事中に歯ぐきから血が出たことはありますか?
痛くもないのに急に出血があると驚きますよね。今回はなぜ歯ぐきから出血するのか、原因と予防策についてお伝えします。
どうして歯ぐきから血が出るのか
歯ぐきから血が出る原因は様々ですが、最も一般的なのは歯肉炎や歯周病に起因する場合です。歯肉炎や歯周炎は口腔内の原因となる菌が増加し、歯肉に炎症を起こすことで発症します。食後や歯磨きの際にも血が見られることがあり、これは注意が必要なサインです。
ただし、全てが歯肉炎や歯周病だけに限られるわけではありません。血液の凝固に問題がある場合や、他の血液疾患が潜んでいる可能性もあります。特に幼い子供が歯肉から持続的に出血する場合、専門医の診断が必要となることもあります。
大人の場合も、歯周病は放置すると重篤な問題を引き起こす可能性があります。歯の喪失はもちろん、全身の健康にも影響を及ぼす可能性が最近の研究で指摘されています。そのため、早めの発見と治療が重要です。
歯周病とは
歯ぐきから血が出る原因の殆どは歯周病であることをお伝えしました。では、歯周病とは一体どういう病気なのでしょうか。
まず、ほとんど自覚症状がないことが特徴に挙げられます。歯磨きの際に出血するなど、サインはありますが、痛みを感じることが大抵の場合なく、進行していきます。そして、歯がしみたり、痛みやグラつきを感じた頃にはかなり進行しており、抜歯せざるを得なくなることがあります。
そもそも、歯周病という名前からは想像がつきにくいのですが、実は顎の骨を溶かしてしまう病気なのです。一見、歯は歯ぐきによって支えられているように見えますが、その歯茎の中にある骨(歯槽骨)によって支えられています。歯周病菌が歯と歯茎の間に入り込み、炎症を起こすことによってその歯槽骨を溶かしていく、というのが歯周病です。そのため、歯周病が進行していくと歯茎から出血するだけでなく、歯がグラついたり、しみたりといった症状が起き始め、最終的には支えを失った歯を抜くことになってしまいます。また、歯周病は予防や進行を抑えることはできますが、厳密には治したり、元の状態に戻したりは出来ません。なぜなら、溶けてしまった歯槽骨が修復されることは無いからです。したがって、口の中を健康に保つためにはいかに歯周病の進行を抑えるかが重要になっていきます。
歯周病が及ぼす影響
先程お伝えした通り、歯周病菌は骨をも溶かしてしまう恐ろしい特徴を持っています。そのため、場合によっては口腔内だけでなく、歯茎で起こした炎症によって血管に侵入した菌が全身を巡ることで、肺炎やアルツハイマー、糖尿病といった様々な疾患を引き起こす原因にもなり得ます。
また最近の研究では、歯周病の原因菌の菌体成分や代謝産物が直接的に歯周組織に傷害を与えるだけでなく、宿主の免疫応答や代謝を撹乱し,過剰な免疫,生物学的反応を誘発して,組織傷害を導く間接作用が重要な病因であることが分かってきました。
このように、歯周病を放置してしまうと全身の健康を害してしまう事になってしまいます。
歯周病の予防・対策
さて、恐ろしい特徴を持った歯周病ですが、ではどうやって対策したら良いのでしょうか。最も重要な対策は正しくお口の中をケアすることです。歯周病の原因となるのは原因菌の繁殖です。そして、繁殖の原因となるのは口腔内に残った食べ物の残りカスです。そのため、普段の歯磨きやフロス、歯間ブラシなどによる口腔ケアが歯周病の進行度に大きく影響してきます。
しかし、お家でできる口腔ケアだけでは不十分な場合があります。正しくない歯磨きによる磨き残しなどで繁殖した菌はやがて歯の根元に歯石を形成します。歯石は菌の巣窟となり歯周病の進行に大きく影響しますが、歯磨きやフロスでは取ることが出来ません。歯石を取る唯一の方法は歯科医院に行き、取ってもらうことです。歯科医院では歯石を除去するための専用の道具を揃えており、歯石除去のプロである歯科衛生士が居ます。また、歯科衛生士から適切な歯磨きの方法や使用すべき口腔ケアの道具などのアドバイスも貰えるため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが歯周病の進行を防ぐためには重要です。
普段、自身で行うセルフケア、そして定期的な歯科医院で行うプロフェッショナルケア、この2つを両立させることで、歯周病の進行を防ぎ、健康的な口腔内を保つことが出来ます。
みなさんも歯ぐきの出血だけでなく、お口の中で気になることがあれば歯科医院に行くことをおすすめします。
医療法人平野歯科クリニック
院長 平野琢起
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