治療前

こちらの患者様は、もともとの奥歯の嚙み合わせが悪かったこと、咬む力が強かったことが重なり、臼歯部から歯が壊れて、むし歯と歯周病が進行し、すでに5本の歯を失われていました。今回のケースでは、臼歯部の5本の欠損部に対して、インプラントを埋入し、適切な位置にインプラントを埋入するため、矯正治療を併用しました。
まずは歯周病の治療を行って、歯茎の状態を整えた後、左上と右下の臼歯部の欠損部に対して、入れ歯を作製しました。見た目が気になっていた上の前歯部の被せ物は仮歯を作製しております。
デジタルワックスアップと矯正学的診断に基づき決定した位置にインプラントを埋入するため、上段のようなインプラントガイドを作製しました。上顎に2本、下顎3本のインプラント埋入できました。ガイドによって、想定された埋入位置から大きく外れることなく、インプラントを埋入することができました。
矯正治療の事前準備として、埋入したインプラントから仮歯を立ち上げました。また、全ての不良補綴物も仮歯に替えました。インプラントの仮歯も支点として活用し、全顎のワイヤー矯正を開始しました。インプラントを視点とすることで効率な歯の移動が可能となります。1年ほどで歯列を整え、理想的な嚙み合わせを確立しました。
矯正治療後に、仮歯や不良修復物を最終補綴物にやり替えました。最終補綴物のセット前にはホワイトニングを行い、より審美的な口元に仕上がるようにしました。患者様にも大変ご満足頂き、治療から5年が経過した現在も予後は安定しており、メインテナンスで通院して頂いております。治療開始前は50代で奥歯から歯が壊れていく咬合崩壊の危機的状況でしたが、患者様の頑張りと、適切な診査、診断、治療を行うことで、咬合崩壊から脱出し、安定した嚙み合わせと審美的な口元に至ることができました。