治療前





他院にて定期的なメインテナンスをされていた患者様です。噛み合わせの影響で、前歯の被せ物がよく外れてしまうとのことで、矯正相談を希望されました。


SN-MP(“あごの形””顔の長さ”)が40.1であることからアベレージアングルと診断できます。また、ANB(上下顎の前後的位置関係)が2.3であることからSkeletal Ⅰ級と診断でき、骨格的には問題はみられません。
しかし、第一大臼歯と犬歯の関係をみてみると、左側はAngle Ⅰ級であるのに対して右側はAngle Ⅲ級となっており、顎偏位がみられます。この顎偏位により右側のみクロスバイトとなり、前歯の被せ物がよく外れてしまう原因となっていたと考えられます。
正面から撮影したレントゲン写真です。上顎右側側切歯と下顎右側側切歯に早期接触(歯が噛み合う前に先に当たってしまう場所)がみられました。下顎が右側に1ミリずれた位置で咬頭嵌合位(上下顎の歯列が安定した状態にあるときの上下顎の位置関係)となっています。また、下顎頸部の長さに左右差があり、下顎骨の位置の大幅な改善は期待できないと診断しました。根本的な解決を図るのであれば外科的処置(下顎骨切り術)が必要なことを説明し、患者様と十分な話し合いの結果、外科処置は希望されず、歯列矯正のみで改善を図ることとしました。


・非抜歯
・左側のみTADで上顎の左側への拡大と移動
・下顎の反時計回りの回転
・下顎左側臼歯TADで前歯の歯根部を左側へ牽引

・上顎の側方拡大
・下顎はIPRでの歯列の縮小
・右側臼歯の正常被蓋の確保
・右上1挺出でのフェルールの獲得


追加治療シミュレーション(Clin Check Simulation)


追加治療シミュレーション(Clin Check Simulation)


追加治療シミュレーション(Clin Check Simulation)





今回の主訴である右上1番の被せ物の脱離は、右側が受け口(交叉咬合)になっており、過剰な咬合力が加わっていたことが原因でした。そこで矯正治療により、右側の交叉咬合を除去し、右上1番少し挺出させることで、外れにくく、清掃もしやすい、良好な被せ物を入れることができました。
噛み合わせが改善されたことで噛みやすくなったとのことで患者様にも喜んでいただくことができました。
ただ、骨格的に上下のアンバランスはあるので今後注意深くメインテナンスをして噛み合わせの経過観察をしていきたいと思います。
