こんにちは。箕面市平野歯科クリニックの院長、平野琢起です。
皆さんは歯磨きをする時に、歯磨き剤(粉)を使っていますか?
私が歯科医師として診療を始めた頃、歯科用品の選択肢は今ほど多くはありませんでした。歯ブラシと数種類の歯磨き剤が並んでいるだけでした。しかし、今日ではスーパーやドラッグストアには、歯ブラシ、歯磨き剤、洗口剤、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの「お口のケア用品」が豊富に揃っています。それぞれの商品には『むし歯予防』、『歯周病予防』、『口臭防止』などの効果が謳われており、選ぶのに迷うほどです。
今回は、その中でも特に『むし歯予防』に焦点を当て、歯磨き剤の選び方について詳しくお話しします。
■フッ素の重要性
皆さんもご存知かと思いますが、むし歯予防にはフッ素が重要な役割を果たします。フッ素は、歯のエナメル質を強化し、むし歯の原因となる酸に対する耐性を高める効果があります。現在、市場に出回っているほとんどの歯磨き剤にはフッ素(フッ化物)が含まれており、その市場占有率は90%以上です。
■フッ素の働き
フッ素が歯に及ぼす主な効果は以下の通りです:
■フッ素の種類
フッ素には以下の3種類があります:
それぞれの成分には微妙な違いがありますが、いずれも有効なむし歯予防効果を発揮します。商品の裏や箱に成分が記載されているので、むし歯予防を目的とするなら、フッ素が含まれているか確認しましょう。
■フッ素の濃度
フッ素が含まれていることを確認したら、次にチェックするべきはその濃度です。濃度がきちんと記載されている製品を選びましょう。
■日本におけるフッ素濃度の規制
日本では2017年3月に薬事法が改正され、フッ素濃度の上限が1500ppmまで緩和されました。現在、大人用(15歳以上)は1450ppm程度のフッ素を含む歯磨き剤が市販されています。それ以前は、1000ppm以下の製品が主流で、市販のフッ化物イオン濃度は900〜950ppmでした。子供用は引き続き1000ppm以下です。
フッ素濃度が高いほどむし歯予防効果が期待できますが、過剰な使用は避けるべきです。特に子供に対しては注意が必要です。
■フッ素濃度の選び方
フッ素濃度が高いほど効果が期待できますが、日常的な使用においては1450ppm程度が最適です。これは成人の歯に対して最大限の効果を発揮しつつ、安全性も確保されている濃度です。一方、子供用の歯磨き剤は1000ppm以下とされています。これは、子供が誤って飲み込んでしまった場合の安全性を考慮したものです。
■フッ素の効果を最大限に引き出す方法
フッ素を使ってむし歯予防を効果的に行うためには、以下の2つのポイントを押さえておくことが重要です。
多量の水で何度もうがいをしていませんか?それでは、せっかくのフッ素が薄まってしまい、予防効果が発揮できません。むし歯予防効果を発揮するうがいは「10〜15mlの水で1回」です。こうすることで、お口の中にフッ素を残し、予防効果を高めることができます。
フッ素を使って歯磨きをした後は、最低30分は飲食を控えることです。これにより、フッ素が歯にしっかりと作用し、むし歯予防効果を最大限に引き出すことができます。
フッ素の効果を最大限に引き出すためには、継続的に使用することが重要です。フッ素配合の歯磨き剤を毎日使用し、適切なブラッシングを行うことで、むし歯予防効果を持続させることができます。
歯科医院では、より高濃度のフッ素を専門的に塗布することができます。定期的な歯科検診の際に、歯科医師や歯科衛生士に相談し、必要に応じてフッ素塗布を受けると効果的です。
■フッ素の効果を実感しましょう
特別なことをたくさん取り入れる必要はありません。今やっていることを少しだけ変えるだけで、フッ素の効果を発揮し、歯を強くすることができます。ぜひ、フッ素を上手に用いてむし歯予防、むし歯ゼロを目指しましょう!
皆さんが健康で美しい歯を保てるよう、これからもサポートしていきます。